中国のハードウェアメーカーであるRayNeoが、日本で2つの製品を発売する。1つは、サングラス型ディスプレイである「RayNeo GT Max」(67,980円)。もう1つは、グリーンのマイクロLEDを使った情報系のスマートグラスである「RayNeo iO Smart Glasses」(89,000円)だ。

サングラス型ディスプレイの「RayNeo GT Max」(67,980円)

情報系スマートグラス「RayNeo iO Smart Glasses」(89,000円)
RayNeoは、中国大手家電メーカーであるTCL傘下の企業で、以前よりスマートグラスを多数製造してきた。今回日本市場で売られるのは、それらの中でも最新モデルに当たる。
この2つについて、基本的な機能や位置付けを確認していこう。
なお、同時に「RayNeo GT Max」の下位モデルとして「RayNeo GT」(52,980円)も発売されているが、こちらは評価用機材の提供がなかったため、評価は割愛する。
回して操作の「RayNeo iO Smart Glasses」
まず「RayNeo iO Smart Glasses」について見ていこう。
「RayNeo iO Smart Glasses」は前出のように、情報を目の前に表示することを目的とした、俗に「情報系スマートグラス」と呼ばれるものだ。
ディスプレイとしてはグリーンのマイクロLEDを使っており、空中に文字などが表示されるタイプだ。本製品の場合、両眼にマイクロLEDのプロジェクターとウェーブガイドが組み込まれていて、表示の違和感は少ない。単眼タイプはよりシンプルに作れる一方、見える文字や映像が不自然になりがちだ。しかし、この製品では問題ない。解像度は片目540×220ドットで、現状必要にして十分、というレベルだろうか。

RayNeo iO Smart Glassesはヒンジ部にマイクロLEDを入れる形。表示はグリーン一色の両眼タイプ
カメラやスピーカーは内蔵されておらず、マイクと表示系だけ、という組み合わせだ。そのため、プライバシー面では利用しやすく、バッテリー動作時間の面でも有利ではある。この種の製品は、すでに今年複数のモデルが他社からも相次いで登場している状況にある。
主な特徴は2つある。
右側にコントロール用の「Smart Crown」が内蔵されていることだ。要は時計のリューズであり、Apple WatchのDigital Crownに近い。メニューなどの遷移に使うもので、操作感はかなりいい。
この種の製品は「操作」が常に問題になる。タッチセンサーは髪と干渉して使いづらい時が多く、操作も直感的とは言いにくい。スマートリングで操作するパターンもあるが、こちらも精度と直感性で限界がある。
Smart Crownは物理的なインターフェースなので、パッと触ってすぐ確実に使える、という利点がある。
2つ目の利点は「連携するAIを選べる」ことだ。

スマホアプリ。処理は基本、こちらが担当して情報をグラスに送る
多くのスマートグラスでは、使うAIサービスが固定されている。変更できる場合にも、その選択肢が狭い。
だがRayNeo iO Smart Glassesの場合には、無償の場合はRayNeo V1またはGemini 3.1 Flash Liteを選べ、別途料金を支払うとChatGPT 5.5、Claude Sonnet 5、Gemini 3.1 Proなども選択できる。
コーディング用にカスタマイズして使うのではなく、よりイージーにAIに質問や翻訳などを頼む場合、自分が使い慣れている、もしくはより信頼を置いているAIが選べるのはとても大きなことだと感じる。
翻訳や要約、プロンプター、スマホの通知など、機能自体はこの種のデバイスで一般的なものが並んでいる。メニュー構成の違いはあれど、そこに差別化点はないと感じる。
しかし、AIとのチャットを軸に使うのであれば、最初からAIを選べることは大きなメリットとなるだろう。ただ、この点はスマホアプリ連携で実現できているものなので、他社もキャッチアップするのは難しくないだろう。
現状は、ユーザー側でのアプリ追加はあまり想定していないように見える。仮に実装するとしても、スマートグラス本体に実装するパターンではなく、スマホアプリと連動して使う形になるのではないか、と予想している。
ハードウェア的な特徴をもう一つ挙げるとすれば、充電方法が少し特殊なことだ。
本体には、クリップのようにメガネを挟んで充電するアダプターが付属する。ここにUSB Type-Cケーブルを挿して充電する。

付属の電源アダプタ。USB Type-Cケーブルをつないで充電する
ケースで充電したい場合には、別売の充電対応ケースを使うことになる。
これは一見不便に思えるが、「ずっと日常的にかけ続ける」「普通のメガネケースに入れて他のメガネと併用する」なら、悪くない選択肢だ。万が一のために小さなアダプターを持ち歩く、と考えればいい。
本体重量は、公式には33gとされている。
実測では37.27gで、公称との差が大きい。評価用デバイスでは重量が異なることもあるので、このくらいの差は「ままある」くらいに考えていただいていい。約4gの差なので、体感するのは難しい。
少なくとも、この種のスマートグラスでは一般的な重量であり、普通のメガネ(一般的には20gから30g程度)より少し重い程度……と捉えていいだろう。
画質重視のディスプレイ「RayNeo GT Max」
こちらは、現状の市場でライバルの多い、いわゆるサングラス型ディスプレイだ。メーカーは「ARグラス」と呼称しているが、ARの機能を押し出しているわけではなく、ケーブルで接続されたデバイスの映像を表示するタイプの製品だ。
ケーブルはUSB Type-Cで、DisplayPort Altモードで映像を入力する。この点も一般的だ。
外観は他社に比べ、レンズ部が薄くなっているのが特徴だ。マイクロOLEDから光を導く光学系が薄型であり、さらに、シェードとなる表面がシンプルな板で、「フレームにサングラスが入っている」形ではないことも薄型化に寄与している。
ただ、「正面に取り外せないスモークのかかったプラスチック板がついている」という構造は、横や後ろから見ると、正直少し安っぽく感じる。こうした構造であるせいか、透過する光の明るさを調整する「調光機能」はない。他社製品は手元を見ると自動調光により透過度が上がる……という仕組みがあるが、RayNeo GT Maxにはない。
レンズ部を薄くしたこともあってか、本体重量が軽い。公称では約78g、実物の計測値では80.4gだった。昨今他社から出た複数の低価格モデルが62gから65g程度になっていて、それよりは重いが、3DoFに対応するモデルは85gを超えるものも多く、ハイエンドモデルは100g近くになる。だから「3DoF対応の中では軽め」と言っていい。ただ、他社3DoFモデルは調光機能があるので、トレードオフと言える。実使用時の利便性を考えると、トレードオフとしては微妙な違いではないか、と感じる。
近視向け視力補正機能はなく、インサートレンズでの対応。また、他社製品にはあまりない特徴だが、瞳孔間距離(IPD)に合わせてサイズがS/M/Lに分かれる。SはIPDが64mm未満、Mは64mmから67mm、Lは67mmを超える場合、とされている。
視野角は公称59度。この種の製品では広めであり、見やすい印象を受けた。発色も悪くない。輝度も高めだ。前述のように3DoFに対応し、画像を空間にピン留めしておける。
見かけ上の画面サイズは3段階から選択可能だ。
機能面で重要なのは、HDRに対応していることだ。Dolby Visionの認証も受けているが、これは汎用ではない。別売のポータブルセットトップボックスである「Pocket TV Pro」と組み合わせた時のみの機能だ。

別売の「Pocket TV Pro」。コンパクトなSTBで、こちらと組み合わせた時にDolby Visionに対応
Pocket TV Proと組み合わせてDolby Visionの映像を見ると、ダイナミックレンジが広がり、映像のリアリティーは増す。
一方で、Pocket TV Proは、そもそも使い勝手がそこまで良くない。スマホの代わりに持ち運んで使うならいいが、筆者の印象では、スマホやタブレットなど、好きなデバイスと組み合わせた方が視聴しやすい。
そうなるとDolby Visionは効かなくなる。正直、このデバイスでのDolby Vision対応は、画質の差が小さいことを考えると、さほど価値を感じられない。なお、Pocket TV Proは後日の発売となる。
ただ、繰り返しになるが、元々の画質・音質は悪くない。この種の製品の中ではトップクラスと言っていい。視野角の広さと映像の明るさのバランスがよい。
全体としての出来は悪くないが、他社製品に比べて頭抜けた部分があるわけではなく、使い勝手にも少々クセは感じる。
選ぶとすれば、視野角と輝度のバランスがよいこと、そして、音質が比較的良いことがポイントだろうか。本質的にディスプレイ製品なので、なによりそこが重要ではあるが。
公式サイトはこちら:https://jp.rayneo.com/








