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活用事例 2024.06.28

Vision Proの性能を活かした“次世代のマンション内見”。LIFULL HOME’S「イマーシブモデルルーム」体験レポート

日本最大級の不動産・ 住宅情報サイト「LIFULL HOME’S」を運営する株式会社LIFULLは、Vision Pro用アプリLIFULL HOME’S「イマーシブモデルルーム」(以下、「イマーシブモデルルーム」)をリリースしました。

このアプリは、分譲マンションの外観やモデルルームを、Vision Proで仮想体験できるというもの。3Dモデルを活用することで、人気のマンションのモデルルームであっても、好きな時・好きな場所で内見可能です。


(LIFULLのオフィスで「Vision Pro」で「イマーシブモデルルーム」を体験している様子。バーチャル空間で部屋のイメージを確認できる。撮影: 武者良太)

高解像度×コントローラー不要のVision Proで「バーチャル内見」

早速Vision Proで「イマーシブモデルルーム」を起動すると、登録されている物件の価格、間取り、住所などの概要情報が表示されます。ここで使われる写真などのビジュアル情報は、デベロッパーや施主から提供されたものを使用しているとのこと。

左側のメニューから「建物」を選択すると、マンション全体のビジュアルを確認できます。続いて「3Dを表示/非表示」を選択すると、建物全体の3Dモデルが登場。これを両手でつまみ、ピンチイン/ピンチアウトすることで拡大縮小ができます。

大きさには制限がありますが、自由に拡大縮小したり、ぐるっと回して好きな角度から物件の外観を見ることができます。従来のモデルルームや内見では提供できなかった、新しい体験です。


(3Dモデルでマンションの外観を確認している様子。指を使って拡大・縮小・回転ができる。 撮影: 武者良太)

また、Vision Proの「コントローラーなしでの操作」により、プラモデルやジオラマに直接触れているかのような感覚で動かせるのもポイント。

続いて、「部屋」を選択すると内見モードに切り替わります。「iPhone 15 Pro」で撮影した空間ビデオを見たあとは、間取り図をもとに3Dモデル化した部屋のなかに入ります。ディスプレイ解像度が高く、細かいところまでチェックできるのは嬉しいところ。また、よくある「全天球カメラで撮影した360度パノラマ写真を、VRで体験する」サービスと異なり、空間内を自由に移動しながら体験できるというメリットもあります。

Vision Proで体験している場所そのものが広ければ、リビング、ダイニング、キッチンなど、いろんな場所から閲覧できます。移動スペースが限られているのであれば、「3Dを表示/非表示」を選択し、今いる場所を変更しましょう。


(リビングから続いているキッチンに移動したところ。「ビューポイント」を複数設定することで、Vision Proを体験する場所が狭くても問題なく内見できる。やはり分譲マンションとなると高クオリティが求められるのか、設備のテクスチャは解像度が高い)

使う側としては、「モデルルームの営業時間や予約状況を気にしなくてもOK」で、「自宅から、距離の制約を気にすることなく体験できる」というのは嬉しいポイントです。モデルルームを提供するデベロッパーや施主にとっては、3Dモデル化した内装や置いている家具のレイアウト、窓から見える景観などを変更できる……といったメリットもあります。

いろいろな家具メーカーが「AR試し置き」用の3Dモデルを用意している昨今、将来的には、企業間提携で「あのメーカーの家具をVRで試してみたい」といったこともできるかもしれません。

Vision Proの機能があってこそ、「誰でも抵抗なく体験できる」

LIFULL HOME’S「イマーシブモデルルーム」を体験して最初に感じたのが、誰でも直感的に使えそうなユーザーインターフェースであることです。

XRヘッドセットの場合、大抵は何らかのコントローラーを使います。するとまず「コントローラーの使い方」を覚える必要があるわけですが、意外とこのハードルが高い。長らくXRヘッドセットを使ってきた人、あるいはゲーマーであればすんなり使えるでしょう。

しかし、空間コンピュータやXRを初体験、あるいは慣れていない人から「難しい」という声が上がるのも事実です。さらに展示会などで使う場合は、年齢層、趣味、デバイス経験が大きく違う人たちに体験してもらう必要が出てきますから、有り体に言うと「大変」なのです。


(撮影: 武者良太)

この「イマーシブモデルルーム」は、Vision Proの高精度なアイトラッキング&ハンドトラッキングゆえ、操作は比較的わかりやすいつくりです。操作に慣れない、という疎外感を感じにくく、物件購入にあたってポジティブな印象を抱き続けられるのではないでしょうか。


(「子供の視点」からの景観を確認するときは、そのまましゃがむだけでOK。視点がきちんと低くなり、どんな設備や家具が子供にとって邪魔となるかを事前に知ることができる。 撮影: 武者良太)

今後もVision Proの性能を活かしたアップデートに取り組んでいく

LIFULLがXRや空間コンピューティングに取り組むのは、今回が初めてではありません。ARで空室情報を確認できる「LIFULL HOME’S」アプリをはじめ、バーチャルな都市を散策しながら、空いている物件の中に入って間取りが見れる「空飛ぶホームズくん」(2020年)などをリリース・公開しています。

こうしたLIFULLのXRプロダクトR&Dを担当している上野哲史氏、そしてLIFULL HOME’S事業本部プロダクトマネージャーの徳山隆氏に今後の展開を尋ねたところ、「9月にアップデートを予定しており、visionOSに沿うようなかたちで、Vision Proの性能を活かしつつ新たな機能を実装していく予定です」「今後も不動産デベロッパーの皆さんと連携して、撮影・3Dモデル作成を行い、お客様に『分かりやすい』『リアルに感じられる』といった価値を提供できればと」とのこと。将来的には時間変更機能や、周辺の建物を再現して「実際の見え方」をどんな場所でも再現できる機能……なども期待できそうです。

(了)


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